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手長婆(てながばば)

[2015年9月16日]

白間津地区の山並み

千倉町白間津(しらまづ)地区の氏神に近い山腹に、「手長婆(てながばば)の洞(ほら)」と呼ばれる2つの洞穴(ほらあな)があります。
昔むかし、その洞穴に手の長い一人の婆が住んでいました。里人たちは、その婆を手長婆と呼んでいましたが、婆はどこの生まれか、どんな気性の者なのか誰も知りませんでした。なぜかと言えば、婆の手がたいそう長くて気味が悪い上に、顔が鬼婆(おにばば)のように怖いので、誰も恐れて付き合わなかったからです。
そのため、婆はまったく一人ぼっちでした。話し相手は一人もなく、朝夕暗い洞穴に住んでいるのでした。
その婆の唯一の慰み(なぐさみ)は磯物を捕ることでした。捕るといっても浜へ出てではなく、洞穴に座ったまま、里越しに長い手を伸ばして磯物を捕るのです。大川と白間津の境辺りの浜はいつも婆が手を伸ばすところでした。
手長婆は随分長生きをしたようですが、しかしいつ死んだのか、またどうして死んだのか、少しも分かってはいません。今、その婆が住んでいた洞穴を訪ねて、その内部を掘りますと、鮑(あわび)や栄螺(さざえ)などの貝殻がたくさん出てくるそうですよ。