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おおさの根の主

[2015年9月16日]

おおさの根の主

原の海の沖に「おおさ」と呼ぶ、でっかい根があります。白浜では、一番でっかい根ですよ。
その根には、むかし、何百年も生きてきた鮫(さめ)がいましたが、長生きをしたため、体がこぶだらけで、牡蠣(かき)などがいっぱい付き、まるで岩のように見えました。ですから海女(あま)が潜っていっても、どこに鮫がいるのか分かりませんでした。
ところが、潜った海女が岩に触れますと、岩が、むずっと動くことがあったのです。
「ほあー、こりゃ、おおさの主(ぬし)だぁよ、主の鮫だぁよ」と気付き、慌(あわ)てて波の上にあがり、「主や、御免(ごめん)してけれ、堪忍(かんにん)してけれ、おらは、主だって、知らなかっただよ」そう言ってまた潜っていきますと、主は細い目をあけて、「あっこ行け、あっこ行け」と教えてくれたのです。主の目の指す方に行けば、そこには必ずでっかい鮑(あわび)が、いっぱいありました。
ところが、主に触れても知らん顔で謝らないと、主は鮫だから怒(いか)り、がぶりと海女を一呑(ひとの)みにしてしまいました。