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めえろし

[2015年9月16日]

めえろし

和田の民話『狸が漁師を起こす』に出てきますが、一人前になっていない漁師を、なぜ「めえろし」なんて呼ぶのか、その話をしましょう。
今の漁船は、すべてエンジンを推進力として航行しますが、昭和の初め頃までは、ほとんどの漁船が人力である櫓(ろ)と風力を利用した帆で航行していました。大きな漁船は、六挺櫓(ちょうろ)、七挺櫓立てのもありましたから、乗っている漁師みんなで漕がねばなりません。
昔の漁師の子どもは、尋常(じんじょう)小学校を卒業すると、すぐ見習い漁師として船に乗ったのですが、まだ、腕に力がありませんから、最も力のいらない前櫓(まえろ)しか漕げません。そこで、前櫓は見習い漁師が専門に漕ぐ櫓となったわけです。脇櫓(わきろ)や艫櫓(ともろ)を漕がされることはありませんでした。
和船は櫓を漕ぐとは言わず「押す」と言いますので、見習い漁師を「前櫓押し(めえろし)」と呼ぶようになったのです。因みに、見習い漁師が「一代」と言われる一人前の給金を受け取るには、十八歳になってからだったそうです。