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あしあと

    令和7年度施政方針

    • 初版公開日:[2025年03月31日]
    • 更新日:[2025年3月31日]
    • ID:11376

    令和7年第1回市議会定例会で市長が施策方針を述べました

     日本経済は、名目GDPが600兆円を超え、33年ぶりの高い水準となった賃上げを実現するなど、前向きな動きがみられます。国民一人一人が、こうした前向きな動きを賃金・所得の増加という形で実感できるようにするため、政府は、日本経済・地方経済の成長、物価高の克服及び国民の安心・安全の確保を3つの柱とする「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を策定しました。

     これに伴い、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力や地方経済の潜在力を引き出すための国内投資を促進するとともに、地方に対しては、新たな地方創生施策を展開し、買物、医療、交通など日常生活に不可欠なサービスの維持向上や足元の経営状況の急変を踏まえた医療・介護の提供体制の確保、DX・GXの面的展開等の取組を進め、新たな需要創出や生産性向上につなげるため、地方創生交付金を当初予算ベースで倍増することを目指して取り組むとしています。

     さて、当市におきましては、令和元年の台風災害以降、コロナ禍や、物価高騰などの影響により、さまざまな業種の方が経済的損害を受けました。物価の高騰は、今もなお続いており、生活支援給付金や各産業への支援などを実施してまいりましたが、低所得層や一部の業種では、今もなお厳しい状況が続いており、今後も社会情勢を注視していかなければならないと考えています。

     財政面についてですが、令和7年度は、歳入については、個人市民税が定額減税分の回復、固定資産税が企業誘致の成果や法人の設備投資などにより、それぞれ増収となる見込みです。

     このほか、歳入全体では、公共施設の整備に伴う県支出金や基金繰入金などが増加しています。また、令和7年度は、合併特例債の発行可能期間の最終年度となります。

     歳出については、義務的経費のうち、人件費・扶助費が増額となっています。物件費は、施設の解体撤去費や地籍調査事業の事業量増、地方公共団体の基幹業務システムの統一、標準化に伴う電算システム改修のほか、物価高騰や労務単価の引き上げなどにより増額となっています。

     普通建設事業費は、令和7年度までの間は、公共施設再編整備等の大規模事業が集中しており、前年度当初予算に引き続き、歳出予算総額に占める割合が高くなっていることから、事業実施にあたり有利な財源の確保には一層努力していく必要があります。

     直近の財政推計による当市の一般会計収支は、概ね収支が均衡した状態で推移するものと見込まれますが、普通交付税への依存度が高い当市の財政運営は国の政策に左右され易いこと、この先迎える更なる人口減少、少子高齢化への対応と老朽化した公共施設の管理にも適切に対応していく必要があることなどから、引き続き、将来を見据えた持続可能な財政運営の確保に取り組んでいかなければなりません。特に、人口減少・少子高齢化対策については、継続的・重点的に実施するとともに、地域の活性化を目的とした産業・経済の担い手や地域コミュニティへの支援拡充が重要であると考えます。また、行財政運営においては、デジタル化をはじめとする効率的で簡素な行財政システムの構築や、公共施設等総合管理計画に基づく施設の統廃合や複合化、転換など、人口規模・財政規模に見合った行財政運営基盤の構築を積極的に図っていく必要があります。

     令和7年度予算におきましても、「第2次総合計画・後期基本計画」及び「総合戦略」の中心的なコンセプトである「子育て世代の維持・増加」の実現に向けて、当市の豊かな自然を最大限活かした、「自然との共生」によるまちづくりを基調とし、総合計画の重点プロジェクトである、安心して子どもを産み育てられる環境をつくる「子育て・教育環境の充実」、新産業の創出、起業支援、第一次産業就業者への支援など、魅力あるしごとと、人と仕事のつながりをつくる、「仕事づくりとマッチング支援」、選ばれる、ずっと住み続けたい、いずれは戻ってきたいと思われる「移住・定住の更なる促進」、人口減少・少子高齢化に起因する課題を乗り越え、自然災害への備えや地域コミュニティ支援など暮らしを支えるまちをつくる「持続可能なまちづくり」を、切れ目なく、強力に事業を展開してまいります。同時に、DXを活用した業務の効率化及び、「公共施設等総合管理計画」に基づく施設再編、転用などを進めてまいります。

     予算の編成にあたっては、国・県の施策や制度改正の動向に留意しつつ、より一層の市税収納率の向上と、経常経費の節減、合理化を図りながら各事業の必要性、投資効果、緊急度等を十分に勘案し、限られた財源の重点的かつ効果的な配分に努めました。

     こうして編成いたしました、令和7年度の一般会計当初予算案の総額は、274億3,700万円で、前年度当初予算との比較では、8億3,400万円、3.1パーセントの増となります。

     それでは、令和7年度に予定しております、主な事業につきまして、第2次総合計画・後期基本計画における重点プロジェクト及び各施策に沿ってご説明申し上げます。

     はじめに、「優しく安心して暮らせる南房総」の「保健・医療・福祉」施策では、生活困窮者自立支援のための相談窓口の開設、障害者支援のための福祉タクシー助成事業、介護人材確保のための資格取得研修費用及び、留学生受入れの一部助成事業などを継続実施するほか、新規に、がん患者の医療用補整具購入費に対する助成、基幹相談支援センターの設置による障害者からの相談業務・虐待防止業務の拡充、任意接種となっている帯状疱疹ワクチン接種に係る自己負担額の軽減を市独自に実施してまいります。

     次に、「活力ある地域産業の南房総」の「産業・雇用」施策では、「自然との共生」によるまちづくり施策及び、重点プロジェクトである「仕事づくりとマッチング支援」施策を中心に、農業振興法人支援、新規就農者・漁業後継者に対する支援、水産業振興・栽培漁業支援、自然体験活動推進事業、観光地域づくり事業、千倉の花畑再生事業、とみうら「枇杷倶楽部」大規模改修工事など、第1次産業の振興施策及び、自然を活かした観光・商工の振興施策を継続実施するとともに、新たに、定年者層の就農支援、有機農業に取り組む農業者の支援、海業推進事業計画の策定、水産業施設整備補助、宿泊業者を対象とするSNS運用に関する伴走支援、総合加工施設における地域資源を活用した商品開発支援などを実施するほか、ちくら潮風王国の大規模改修工事の設計及び、屋外トイレ改修工事に着手してまいります。

     次に、「豊かな学びと文化の南房総」の「教育・文化・スポーツ」施策では、重点プロジェクトである「子育て・教育環境の充実」施策を中心に、子ども医療費助成事業、病児・病後児保育事業、子育て支援・教育相談(スマイル)事業、預かり保育事業、特別支援教育総合推進事業、学校外教育サービス利用助成事業、発達相談・トレーニング(ぱれっと)事業、学校給食への米飯給食推進、地場産物の導入推進、旧平群小学校等跡地公園整備工事、千倉地区複合施設建設工事、千倉総合運動公園整備工事などを継続実施するほか、こども家庭センターの相談受付体制の拡充、新たに、低所得世帯に対する高等学校等への進学・就学費用の支援、塾講師とのチームティーチングによる市内中学校の授業サポート、嶺南中学校屋内運動場予防改修工事に係る設計、千倉弓道場トイレ建設工事などを実施・着手してまいります。

     次に、「安全で快適な南房総」の「生活・自然」施策では、「自然との共生」によるまちづくり施策や重点プロジェクトである「持続可能なまちづくり」施策を中心に、環境都市づくりの推進、森林環境の保全と資源の活用、住宅の耐震化・脱炭素化、合併処理浄化槽設置整備事業、自主防災組織への支援、可燃ごみの中継施設建設工事、千倉衛生センター解体撤去工事を継続実施するほか、市民の安全・安心を確保するため、新たに、市内50箇所の防犯カメラ設置工事、平舘地区の避難路整備工事、嶺南小中学校の防災井戸新設工事、防災行政無線再送信子局更新工事などに着手してまいります。

     次に、「地域がつながる便利な南房総」の「道路・交通」施策では、来月から開始する公共ライドシェアの実証実験を令和8年2月まで実施するほか、老朽化した市営路線バスの更新のため、EVバス1台を購入してまいります。地域生活路線バス、市営路線バスなどの公共交通及び、高齢者に対する外出支援につきましては、引き続き、創意工夫をもって、市民の移動手段の確保に努めてまいります。また、市民生活の利便性の向上はもとより、地域産業、観光の活性化のために、国・県に対し、国道・県道の整備促進を働きかけていくほか、市道の整備・維持管理を実施してまいります。

     次に、「市民が創る南房総」の「移住促進・市民参加・行財政」施策では、重点プロジェクトである「移住・定住の更なる促進」施策及び、「持続可能なまちづくり」施策を中心に、地域づくり協議会への支援と支援員の設置、移住・定住推進事業、結婚新生活支援事業、UIJターンによる起業・就業者創出事業、空き家バンク事業、住宅取得奨励事業などを継続実施するとともに、人口減少対策の一環として、新たに、移住定住者向け賃貸住宅建設補助制度を創設し、移住・定住の促進を図ってまいります。また、住民サービスの向上と、業務の効率化のため、新たに窓口へのキャッシュレス決済を導入するに当たりPOSレジを設置及び、Webによる口座振替受付サービスの導入などを実施するほか、千倉社会福祉センター解体撤去工事及び、防災行政無線三芳中継局解体工事の設計に着手してまいります。