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あしあと

    令和6年度施政方針

    • 初版公開日:[2024年09月11日]
    • 更新日:[2024年9月11日]
    • ID:11376

    令和6年第1回市議会定例会で市長が施策方針を述べました

     日本経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え改善しつつあり、30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、経済の先行きには、前向きな動きが見られます。

     このような中、政府は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を策定し、この対策を速やかに実行し、デフレから完全脱却するとともに、「新しい資本主義」の旗印の下、供給力の強化に向けて、科学技術の振興・イノベーションの促進、GX、DX、半導体・AI等の分野での国内投資の促進などの支援等に取り組むほか、若者・子育て世代の所得向上など少子化対策・こども政策を抜本的に強化し、人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する中で、包摂(ほうせつ)社会(しゃかい)の実現に取り組むとしています。

     さて、当市におきましては、令和元年の台風災害以降、コロナ禍や、物価高騰の影響により、さまざまな業種の方が経済的損害を受けました。

     生活支援給付金や各産業への支援などの実施により、徐々に回復傾向にありますが、低所得層や一部の業種では、今もなお厳しい状況が続いており、今後も社会情勢を注視していかなければならないと考えています。

     財政面についてですが、令和6年度は、個人市民税の定額減税の実施が予定されています。

     歳入全体では、定額減税による減収分は、地方特例交付金により補てんされ、公共施設の再編整備の実施に伴う市債の計上により増加しているものの、歳入一般財源の大幅な増収は期待できない状況であります。一方で、歳出については、義務的経費のうち公債費は減額となりますが、人件費・扶助費が増額となっています。また、物件費は前年度予算額と比較し光熱水費が下がったものの、今後もエネルギー単価・物価の高騰などの影響を受け増加する可能性もあり、さらに、令和7年度までの間は、公共施設再編整備等の大規模事業が集中していることから、事業実施にあたり有利な財源の確保には一層努力していく必要があります。

     直近の財政推計による当市の一般会計収支は、概ね収支が均衡した状態で推移するものと見込まれますが、普通交付税への依存度が高い当市の財政運営は国の政策に左右され易いこと、この先迎える更なる人口減少と少子高齢化への対応と老朽化した公共施設の管理にも適切に対応していく必要があることなどから、引き続き、将来を見据えた持続可能な財政運営の確保に取り組んでいかなければなりません。

     令和6年度予算におきましても、「第2次総合計画・後期基本計画」及び「総合戦略」の中心的なコンセプトである「子育て世代の維持・増加」の実現に向けて、当市の豊かな自然を最大限活かした、「自然との共生」によるまちづくりを基調とし、総合計画の重点プロジェクトである、

     安心して子どもを産み育てられる環境をつくる「子育て・教育環境の充実」、新産業の創出、起業支援、第一次産業就業者への支援など、魅力あるしごとと、人と仕事のつながりをつくる、「仕事づくりとマッチング支援」、選ばれる、ずっと住み続けたい、いずれは戻ってきたいと思われる「移住・定住の更なる促進」、人口減少や少子高齢化に起因する課題を乗り越え、自然災害への備えや地域コミュニティ支援など暮らしを支えるまちをつくる「持続可能なまちづくり」を、切れ目なく、強力に事業を展開してまいります。同時に、将来に渡っての健全な財政を堅持していくため、「公共施設等総合管理計画」に基づいた、施設再編、転用などを進めてまいります。

     予算の編成にあたっては、国・県の施策や制度改正の動向に留意しつつ、より一層の市税収納率の向上と、経常経費の節減、合理化を図りながら、各事業の必要性、投資効果、緊急度等を十分に勘案し、限られた財源の重点的かつ効果的な配分に努めました。

     こうして編成いたしました、令和6年度の一般会計当初予算案の総額は、266億 300万円で、前年度当初予算との比較では、5億2,800万円、2.0%の増となります。

     それでは、令和6年度に予定しております、主な事業につきまして、第2次総合計画・後期基本計画における重点プロジェクト及び各施策に沿ってご説明申し上げます。

     はじめに、「優しく安心して暮らせる南房総」の「保健・医療・福祉」施策では、生活困窮者自立支援のための相談窓口の開設や、障害者支援のための福祉タクシー助成事業、介護人材確保のための資格取得研修費用や留学生受入れの一部助成事業、(仮称)安房地域医療福祉専門学校南房総校の整備支援事業などを継続実施するほか、高齢者のデジタルへの対応支援、三芳圏域を担当する市直営の指定介護予防事業所の設置などを新たに実施してまいります。

     次に、「活力ある地域産業の南房総」の「産業・雇用」施策では、「自然との共生」によるまちづくり施策や重点プロジェクトである「仕事づくりとマッチング支援」施策を中心に、農業振興法人支援や水産業振興・栽培漁業支援、新規就農者・漁業後継者に対する支援、自然体験活動推進事業、千倉の花畑再生事業、とみうら「枇杷倶楽部」大規模改修工事、総合加工施設建設工事など、第1次産業の振興、自然を活かした観光・商工の振興施策を継続実施するとともに、輸入飼料高騰により影響を受ける畜産農家の支援を実施してまいります。また、観光地域づくり法人への助成支援、市内事業者のデジタル化支援やデジタル人材の育成支援などを新たに実施するほか、有害鳥獣処理施設の設計、富山(とみさん)展望台改修工事などに着手してまいります。

     次に、「豊かな学びと文化の南房総」の「教育・文化・スポーツ」施策では、重点プロジェクトである「子育て・教育環境の充実」施策を中心に、子ども医療費助成事業、病児・病後児保育事業、子育て支援・教育相談事業、預かり保育事業、学習講座事業、学力向上推進事業、特別支援教育総合推進事業、発達相談・トレーニング事業、学校給食への米飯給食推進、地場産物の導入推進、千倉中学校校庭整備工事、旧南三原小学校跡地公園整備工事などを継続実施するほか、学校外教育サービス利用助成事業は、交付要件の市民税所得割課税額による助成額区分を撤廃するなどの拡充を行い実施してまいります。また、子育て支援センター大規模改修工事、千倉小学校交通安全対策工事、富浦小学校普通教室棟防水工事、旧平群小学校跡地公園整備工事、千倉地区複合施設建設工事、B&G海洋センター等整備改修工事、富山多目的運動場グラウンド整備工事などに着手してまいります。

     次に、「安全で快適な南房総」の「生活・自然」施策では、「自然との共生」によるまちづくり施策や重点プロジェクトである「持続可能なまちづくり」施策を中心に、環境都市づくりの推進、合併処理浄化槽設置整備事業、住宅の耐震化・脱炭素化、森林環境の保全と資源の活用、自主防災組織への支援などを継続実施するほか、可燃ごみの中継施設建設工事、外房地区自己搬入施設の設計、千倉衛生センター解体撤去工事、防災行政無線親局・中継局更新工事などに着手してまいります。

     次に、「地域がつながる便利な南房総」の「道路・交通」施策では、地域生活路線バス、市営路線バスなどの公共交通について、引き続き、創意工夫をもって、市民の移動手段を確保するとともに、高齢者に対する外出支援については、助成内容を拡充して実施してまいります。また、市民生活の利便性の向上はもとより、地域産業、観光の活性化のために、国・県に対し、国道・県道の整備促進を働きかけていくほか、市道の整備・維持管理を実施してまいります。

     次に、「市民が創る南房総」の「移住促進・市民参加・行財政」施策では、重点プロジェクトである「移住・定住の更なる促進」施策と「持続可能なまちづくり」施策を中心に、地域づくり協議会への支援と支援員の設置、移住・定住推進事業、結婚新生活支援事業、UIJターンによる起業・就業者創出事業、空き家バンク事業、住宅取得奨励事業、丸山分庁舎・公民館大規模改修工事を継続実施するほか、とみうら元気倶楽部大規模改修工事、千倉社会福祉センター解体撤去工事の設計に着手してまいります。

     なお、令和6年度において実施が予定されている、定額減税に伴う低所得世帯等への各種支援給付金については、当初予算編成の段階では、制度内容が不明でしたので、予算は計上しておりません。今後の国の動向をみながら、補正予算にて対応する予定であります。