白浜の頼朝伝説
- [2015年9月16日]
- ID:3523
平家を倒して源氏の世にしようとした源頼朝は、伊豆の石橋山の戦いに敗れて安房の平北郡猟島(へいほくごうりょうしま)(鋸南町)に逃げてきました。治承(じしょう)4年(1180年)8月29日のことでした。
その後、再起を願う頼朝は、味方を得るために安房の国中を勢力的に巡回したのですが、その際に白浜にも立ち寄りました。空が良く晴れていた9月6日だったといいます。
まず、長尾の滝口大明神に参詣し、「宗近(むねちか)」の太刀を奉納して戦勝を祈願すると、海岸づたいに野島崎に着きました。野島には、弁天堂が祀(まつ)られていますので、かたわらにあった岩に「野島山」の三文字を鏃(やじり)で刻み、奉納しました。
白浜の野島は、
「あま小舟みえつ隠れつ朝あけの野嶋が崎の霧のむらむら」
と歌に詠まれたほどの景勝地でしたので、頼朝は、しばらく美しい景色を眺めながら、従者の労をねぎらい、酒宴を開いたと言われています。その場所には、「盃(さかずき)の池」「銚子(ちょうし)の池」などの地名が残り、また、休息のため頼朝が幹に腰を掛けた「頼朝の腰掛け松」があったという話も残っています。
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