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サザエの壷焼き

[2015年9月16日]

サザエ

むかし、正月になりますと、どこの村の名主も、家に小作米を納めてくれる農家の主(あるじ)たちを招いて、祝いのご馳走をふるまう風習がありました。
小作農の主にとっては、それが年に一度のことで、お呼ばれの祝いの膳には、おいしいご馳走がいっぱい載っていますから、みんな大喜びで集まったのです。
ある年、丸のある村の名主が、
「今年は、珍しいご馳走を食べさせてやろう」と言って、サザエの壷焼きを出しました。
ところが小作農の主たちは、初めて見るサザエの壷焼きでしたから、食べ方が分からず困りましたが、そのうちの一人が、サザエをわしづかみにして、ガリガリと殻ごと噛み始めますと、それを見た他の人も、同じようにサザエの殻を噛み出したのです。驚いた名主が、
「これこれ、サザエの殻を食べてはいかんよ」とみんなに注意しますと、小作農の主たちは、口を揃えて
「名主どんの家の大事な器を壊して申し訳ねえ、済みません」と平謝りをしたということです。