ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

スマートフォン表示用の情報をスキップ

あしあと

    サザエの壷焼き

    • [2015年9月16日]
    • ID:1844
    サザエ

    むかし、正月になりますと、どこの村の名主も、家に小作米を納めてくれる農家の主(あるじ)たちを招いて、祝いのご馳走をふるまう風習がありました。
    小作農の主にとっては、それが年に一度のことで、お呼ばれの祝いの膳には、おいしいご馳走がいっぱい載っていますから、みんな大喜びで集まったのです。
    ある年、丸のある村の名主が、
    「今年は、珍しいご馳走を食べさせてやろう」と言って、サザエの壷焼きを出しました。
    ところが小作農の主たちは、初めて見るサザエの壷焼きでしたから、食べ方が分からず困りましたが、そのうちの一人が、サザエをわしづかみにして、ガリガリと殻ごと噛み始めますと、それを見た他の人も、同じようにサザエの殻を噛み出したのです。驚いた名主が、
    「これこれ、サザエの殻を食べてはいかんよ」とみんなに注意しますと、小作農の主たちは、口を揃えて
    「名主どんの家の大事な器を壊して申し訳ねえ、済みません」と平謝りをしたということです。