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富山(とみさん)の鐘

[2015年9月16日]

富山と田んぼ

昔むかし、富山(とみさん)のふもとの10カ村の名主が相談して、「富山の頂上に、時を知らせる大きな鐘を造ろう」と決めました。
早速、お金集めを始めますと、一人ひとりの寄進するお金は少なかったのですが、大勢の力で、思いのほかお金が集まりましたので、鐘は川上村(かわかみむら)の近くで鋳(い)ることになり、江戸神田の有名な鋳物師(いもじ)が踏鞴(たたら)を踏み、溶かした地金を次々と、大きな鋳型に流し込みました。
その時、不思議なことが起きました。妙(たえ)なる楽(がく)の音(ね)とともに、一人の美しい乙女が現れ、
「私は山に住む貧しい者ですが、少しばかり寄進します」
と言い、山吹色の小判を、赤い炎になった地金の中へ投げ込み、富山めざして飛び去ったのです。
村人たちは、鐘に黄金を混ぜると音色が良くなることを皆知っていたので、「今の乙女は富山の観音様に違いない。ありがたいことだ」と言いあい感謝しました。やがて立派に出来上がった鐘は富山の山頂に建てられた鐘楼(しょうろう)に運ばれて、毎朝、毎夕ふもとの村々に美しい音を響かせました。