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大房(たいぶさ)弁天の洞穴

[2015年9月16日]

天狗

富浦の大房岬西端の断崖に、弁天様をお祀(まつ)りした洞穴がありますが、この洞穴は、およそ二里(八キロ)余りも先の那古弁天(館山市那古)の洞穴まで、続いているという伝説があります。
那古弁天の洞穴には、鍾乳石(しょうにゅうせき)が恐ろしく垂れさがり、地上の「阿伽(あか)の井」と呼ばれる泉には、美しく透きとおった冷水が湧き出ています。あるとき、豪胆な猟師が、ほんとうに洞穴が続いているものか調べてみようと、村人たちが止めるのを振り切って、一人で犬をつれ、大房弁天の洞穴に入り込んだことがありました。
心配した村人たちが、双方の洞穴で待っていますと、三日後に那古弁天の洞穴から、傷だらけになった犬だけが出てきて、ばったり倒れたまま息が絶え、猟師はとうとう出てきませんでした。
那古弁天の洞穴には、天狗が棲んでいるという話もありましたので、きっと食われてしまったのだろうと、村人たちは震えました。それから、大房弁天の洞穴に入った者は誰もおりません。