ページの先頭です

長尾川の立石(たていし)

[2015年9月16日]

長尾川の立石

今から三〇〇年以上も前に起きた、元禄(げんろく)の大地震のときでした。長尾村では、村人たちが「ふじ山」と呼ぶ小高い山が崩れて、その土砂が大量に長尾川へ流れ込むという、大被害が起きたのです。
長尾川は、田畑を潤(うるお)す大事な水源でしたから、それが土砂で埋まったのでは村人たちにとって死活問題です。村人たちは長尾川に流れ込んだ土砂を、毎日一所懸命(いっしょけんめい)に運び出しました。その努力で最後に残ったのは、大石一つだけとなりました。しかしその石は、動かそうにも大きすぎ、二進(にっち)も三進(さっち)もいかないのです。そこで村役人が、大石を石のみで割り砕いて運ぼうと考え、石の中央に石のみを打ち込みますと、何とそこから赤い血が吹き出したのです。
「この大石は、ふじ山の神様の霊(れい)が宿る石だったに違いねえ。」
と村人たちは、祟(たた)りを畏(おそ)れて逃げ出し、その後、大石を動かそうとする者は一人もいなくなりました。
そのときから長い年月が過ぎましたが、石のみで割れ目の入った大石は、何時の頃か「立石(たていし)」と名を変え、今も長尾川に残っています。
「立石」は、平成8年頃の台風で下流に押し流されたようです。長尾川河口にそれらしい石の塊が残っています。