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閻魔大王(えんまだいおう)の首

[2015年9月16日]

閻魔大王

昔むかしの話です。久枝村(くしむら)(富山地区)の名主(なぬし)・仲右衛門(なかうえもん)が、暴風雨の翌朝、海岸を見回りますと、村境で加知山村(かちやまむら)の漁民たちが、流れ着いた仏像の首を囲み大騒ぎをしていました。
仲右衛門は、かねてから仏道に帰依(きえ)されていましたので、一目でそれは閻魔大王(えんまだいおう)の首で、しかも素晴らしい傑作だと判(わか)りましたから、何とか久枝村の所有にしたいと考え、加知山村の名主と話し合い、岩井袋(いわいふくろ)の沖の漁業権と引き換えに、その閻魔大王の首を村に持ち帰りました。
その頃の名主の権力は大層(たいそう)なものでしたが、それにしても一部の海域とは言え漁業権を放棄したのですから、穏やかな話ではないのですが、ところがです。不思議なことに閻魔大王の首が名主の家に安置されますと、久枝村には五風十雨(ごふうじゅうう)の恵みがあり、地引き網を引く浜は毎日大漁となり、村人たちの暮らしは富んで豊かになったのです。後に首だけの閻魔大王には、江戸の仏師によって胴体が作られ、首と胴は見事に一つの形につながれたと言いますが、今その閻魔大王は、仲右衛門の檀那寺(だんなでら)だった蓮台寺(れんだいじ)にあります。