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神狩(みかり)の御籠り(おこもり)

[2015年9月16日]

下立松原神社

白浜町滝口地区の下立松原神社に、古くから続く「神狩神事(みかりしんじ)」があります。江戸時代には、その期間、五軒の社家(しゃけ)が夜中、参籠所(さんろうじょ)で御籠り(おこもり)をしましたが、そのとき起きた不思議な話やおもしろい話が今も楽しく語り継がれています。
ある年の御籠りでした。皆が寝静まり、炉(ろ)に焚いた火だけがあかあかと燃えていたとき、何処からともなく天狗が現れ、炉端で火にあたり、体を温めると無言のまま外の闇(やみ)に消えたのです。ふと目を覚ました幾人かの社人が、その恐ろしい姿を見たそうです。また、ある年の御籠りには狸(たぬき)が現れ、炉端にあぐらをかくと、大きな「狸の八畳敷(はちじょうじき)」を広げて眠りましたので、ある社人が狸を脅(おど)してやろうと、次の日、堅石(かたいし)を炉の中へくべておきました。
案の定、夜がふけたころ狸が現れて八畳敷を広げ、うとうと始めましたから、ころ合いは良しと社人が真っ赤に焼けた堅石を、火箸(ひばし)に挟み、狸の八畳敷へ放り込んだのです。狸はびっくり仰天。「アッチッチ、生燻べ(なまくすべ)を放られた」と言って、一目散に逃げたそうです。